『博報堂のすごい打ち合わせ』書評-ブレストが静まり返るプランナー必読。「ジャズ」のような共創を生む3つの視点

プランナーの佐藤です。

突然ですが、皆さんのカレンダー、「定例」や「進捗確認」で埋め尽くされていませんか?
僕は埋まっています。そして時々、ふと虚しくなることがあります。

「この1時間で、僕らは何か新しい価値を生み出しただろうか? それとも、ただ情報を横流ししただけだろうか?」

特にブレインストーミングの場面。「何かアイデアない?」という問いかけに沈黙が続き、結局いつもの声の大きい人の意見に落ち着く……。そんな「消化試合」のような会議に、どこか諦めを感じている自分がいました。

ロジックで詰め切るだけでは、人の心は動かない。かといって、感性任せの「思いつき」だけではクライアントを説得できない。

その狭間でモヤモヤしていた僕が、「あ、会議そのものをクリエイティブにすればいいんだ」と、目から鱗が落ちたのが今回の一冊です。

今回、思考の「よりみち」をくれた本

この本は、単なる「会議の時短術」や「ファシリテーションの教科書」ではありません。
クリエイティブエージェンシーである博報堂の中でも、特に「共創」を掲げるチームが実践している、「未知のアイデアを生むための作法」が詰まっています。

書籍情報

  • 書影: [ここに『博報堂のすごい打ち合わせ』の書影を挿入]
  • タイトル: 博報堂のすごい打ち合わせ
  • 著者: 博報堂ブランド・イノベーションデザイン
  • 出版社: SBクリエイティブ
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「正解」ではなく「別解」を探す旅

動画資料(書籍内容)を眺めながら、僕自身のプランナーとしての姿勢を強烈に問いただされたポイントがいくつかありました。特に心に刺さった3つの視点を共有します。

1. 打ち合わせは「ジャズ」である

僕たちは業務上、どうしても「アジェンダ」と「ゴール」を決め打ちしたくなります。「今日はこれを決める場です」と宣言しないと不安だからです。

しかし、本書では打ち合わせを「ジャズ」に例えています。

予定調和ではなく、即興(インプロビゼーション)で互いの音に反応し合い、予想もしなかったグルーヴを生み出すこと。

これ、耳が痛いプランナーも多いのではないでしょうか? 僕らはつい、会議を「オーケストラ(指揮者の指示通りに演奏する)」のように管理しようとします。

でも、イノベーションや、人の心を動かす「インサイト」というのは、整然とした進行表からは生まれません。誰かのふとした発言(ミスノートかもしれない音)を、別の誰かが「それ、面白いね!」と広げた瞬間に生まれる。

この「脱線」を許容する勇気こそが、すごい打ち合わせの第一歩なのかもしれません。

2. 「雑談」こそが最強のウォーミングアップ

「時間はコスト」という意識が強いと、つい冒頭から本題に入りたくなります。しかし、本書は「最高の雑談から始まる」ことの重要性を説いています。

ここで言う雑談は、単なる天気の話ではありません。
「心理的安全性」を確保するための儀式です。

  • 「最近、何に心が動いた?」
  • 「個人的に気になっているニュースは?」

こうした話題を通じて、「ここでは何を言っても否定されない」「自分の感性をさらけ出していい」という空気を醸成する。これを本書では「卵を温める(ハッチング)」と表現していたのが印象的でした。

以前、このブログの『インサイトの正体』という記事([過去記事リンク: インサイト考察記事])でも触れましたが、本当のインサイトは、表面的なデータの裏側にある「生身の感情」に潜んでいます。
会議室の空気が冷え切っていては、そんな生身のアイデアが出てくるはずもありません。「雑談」はサボりではなく、クリエイティブのための必須コストなのです。

3. アイデアは「買う」もの

これが、僕にとって最大のパラダイムシフトでした。

普通の会議では、誰かがアイデアを出すと、参加者は「審査員」になりがちです。「予算的にどう?」「実現可能性は?」と、減点法でチェックしてしまう。

しかし、「すごい打ち合わせ」のルールは逆です。
「出されたアイデアを、まずは肯定する(買う)。」

「いいね!」「その視点はなかった!」

まずは価値を認める。その上で、「もっとこうすれば面白くなる(Betterness)」を重ねていく。

僕自身、戦略を立てる立場上、ついクリエイティブ案に対して「ロジックが通ってない」と指摘する側の人間になっていました。でも、生まれたばかりのアイデアは赤ちゃんのようなもの。最初から厳しく叩けば死んでしまいます。

まずは「買う」。そこから「育てる」。
このスタンスの違いだけで、会議における発言量は劇的に変わるはずです。

思考の「よりみち」を終えて

本を読んで、僕は翌日の社内ミーティングで一つだけ実験をしました。
冒頭で「今日は結論が出なくてもいいので、とにかく『それ面白いね』と言い合いましょう」と宣言したのです。

結果どうなったか?
いつもはPC画面ばかり見ているメンバーが、顔を上げ、笑いながら「実はこんなこと考えてて…」と話し始めました。そこで出たアイデアは、当初の予定とは全く違う方向でしたが、クライアントの課題を突く鋭いものでした。

まとめ:『博報堂のすごい打ち合わせ』が教えてくれたこと

  • 会議は「管理」するものではなく、「創発」させるもの(ジャズであれ)。
  • 「雑談」という名のアイドリングが、思考のエンジンを温める。
  • 批判する審査員になるな。アイデアを「買い取る」投資家になれ。

もしあなたが、日々の会議に閉塞感を感じているなら、この本はきっと「武器」になります。
ファシリテーションの技術だけでなく、「仕事を楽しむためのマインドセット」を変えてくれる一冊です。

さあ、次の会議、ちょっとだけ「雑談」から始めてみませんか?

今回取り上げた本

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